コラム

民泊ビジネスに追い風!?「住宅宿泊事業法(民泊新法)」について知っておこう!

2017.07.06

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2016年3月10日に閣議決定し、2017年6月9日に成立した「住宅宿泊事業法(民泊新法)」をみなさんはご存知ですか?
今までグレーなイメージが強かった「民泊」という宿泊形態が、きちんと確立されようとしているのです。
「民泊新法」とは一体どんなものなのでしょうか?

そもそも「民泊」の定義って?

「民泊」とは、読んで字のごとく「民家に泊まること」を指します。
一昔前までは、無償で個人宅に旅行者などを泊めるという意味で使われていたようですが、近年ではその意味も変化してきています。
宿泊仲介サイト「Airbnb」の登場で、2008年頃から「外国人観光客に個人宅や投資用マンションを貸し出す」という新たなビジネスが注目されるようになりました。
訪日観光客の増加にともなう宿泊施設不足や空き家の増加などもあいまって、需要がだんだんと高まり、今では「宿泊事業」としての意味合いが強まってきています。
この「民泊」ビジネスの登場で、宿泊施設の既存ルールである「旅館業法」で対応しきれない部分が増えてきたため、新たなルールを決める必要が出てきたのです。

「住宅宿泊事業法(民泊新法)」の気になる中身とは?

現在、民泊ビジネスを行うためには、

  • 「旅館業」の簡易宿所として許可を取る
  • 大阪府や東京都大田区の「特区民泊」を活用し許可をとる

2つの法令どちらかに則る必要がありますが、今後新たな選択肢として加わるのが「住宅宿泊事業法」です。

住宅宿泊事業法では、住宅宿泊事業を3つに分類し、それぞれにルールを定めました。

【住宅宿泊事業者(民泊ホスト)】

「Airbnb」などの民泊マッチングサイトに物件を掲載し、民泊サービスを営む「民泊ホスト」のこと。180日を超えない範囲で宿泊させる事業のことを指し、営業を行う場合は都道府県知事への届け出が必要になります。

民泊ホストは、「家主居住型」と「家主不在型」の2つに分類され、それぞれに規制があります。

「家主居住型」

衛生確保措置、騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成、備付け、標識の掲示等が義務付けられます。

「家主不在型」

衛生確保措置、騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成、備付け、標識の掲示等を「住宅宿泊事業者」に委託する事が義務付けられます。

【住宅宿泊管理業者(民泊運営代行会社)】

家主不在型の民泊ホストから委託を受けて、住宅宿泊管理業の適正な遂行のための措置と、住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置を行う民泊運営代行会社のこと。住宅宿泊管理業を行う際は国土交通大臣の登録が必要です。

まず、住宅宿泊事業者への契約内容の説明が必要で、さらに、衛生確保措置、騒音防止のための説明、苦情への対応、宿泊者名簿の作成、備付け等を行わなければなりません。

【住宅宿泊仲介業者(民泊仲介サイト運営会社)】

住宅宿泊仲介事業者とは、「Airbnb」などの民泊仲介サイトの運営企業のこと。サービスを行う際は観光庁長官の登録が必要で、宿泊者への契約内容の説明などが義務付けられています。

新法によるメリットも

上記では、規制や義務を紹介しましたが、もちろんメリットもあります。
その中でも大きなメリット3つをご紹介します。

・民泊ホストや施設管理者が自治体にインターネット上から届出を行うだけで営業が可能。
今までは、営業を行う場合必ず旅館業法の許可が必要でした。しかし、新法案では、行政の許認可を得る必要はなく、自治体にネットで届出をするだけで営業ができます。

・特区民泊にはある最低宿泊日数制限がない。
特区民泊の制度では「2泊3日以上(大田区は6泊7日以上)」といった規制がありましたが、その規制がなくなるため、1泊のみでもゲストを受け入れる事が可能になります。

・現行法ではできない住居専用地域でも合法的に民泊の営業ができる。
新法案では、民泊ホストが提供する施設は旅館やホテルと言った宿泊施設ではなく、「住宅」という位置付けになっています。そのため、住居専用地域でも民泊の営業ができるようになります。

しかし、地域の条例等により実施できない場合もあるため、注意が必要です。

最近は外国人観光客が増え、宿泊施設不足が問題になっているため、「民泊」がとても注目を集めています。手軽に宿泊施設を提供できるメリットはありますが、問題が多く起きているのも事実です。

2018年1月に早ければ施行されるこの民泊新法。早くこの新法が定着し、提供する側も提供される側もお互いが気持ちよく過ごせる民泊になるといいですね。

 

     
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