コラム

【ホテル今昔物語】2000年代以降の発展 その(2) 外資系ホテルラッシュとリノベーションの波

2016.04.26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

21世紀に突入してから、日本のホテル業界には外資系のラグジュアリーホテルと低価格・宿泊(B&B)特化型ホテルという2つの新しいカテゴリが登場しました。既存のカテゴリにとらわれない新たな市場が切り開かれている現代。最近のホテル発展の軌跡について学んでいきましょう。



外資系ホテルがどうして日本にやってきたのか…

競争が激化してきた日本国内のホテル事情。それも全て外資系ホテルの新規参入が増えたことによるものが多いです。なぜ外資系ホテルが日本にこぞって進出してきたかについて知識として整理しておきましょう。

  • バブルが崩壊したあと、日本国内の地価の下落が著しく、再開発を狙うにあたって一等地に進出しやすい状況にあったこと
  • 安く買い叩いて手に入れた土地を不動産投資会社が積極的に外資系ホテル誘致に使ったこと
  • 今後、日本に訪れる観光客が増加傾向になることが予想されたこと
  • バブルが崩壊したのち、時間はかかっても必ず日本経済は立ち直り、経済が上向きになってくると予想がされたこと

リノベーションによる競争の強化

また、外資系ホテルを迎え撃つべく、国内既存ホテルも宿泊単価や稼働率の維持、宴会と言った料飲部門の強化のために施設の大規模な改修を行うところが目立ってきました。

  • スパ、フィットネスジム、フィットネスクラブやネイルサロン、エステを併設して、美容と健康に対する意識の高い層の獲得を目的とした改修
  • 大人のみの利用から子供連れの層まで利用しやすい環境を整えるための改修

といったように、新規のサービスを取り入れようと様々なホテルで積極的そして大々的にリノベーションに取り組んでいます。

景気の回復傾向に加えて、個人消費も回復。ホテル業界に光が…!

2005年頃から、景気の回復傾向が見られました。それに伴って個人の消費も回復してきました。これによって次第にホテルにおいても客室単価の低下に歯止めがかかり、単価が相応なものになってきました。また、客室稼働率も徐々に上昇してきたのです。長かったホテル業界の冬の時代が終焉を迎えたといって良いでしょう。

外資系ホテルの進出ラッシュによって、競争が激化したことには変わりありませんが、高級ホテル市場に限ってみれば未だに拡大傾向にあります。リノベーションによって、既存ホテルのグレードが上がり、新たなホテル需要の創出がなされたことによって、「お金に換えられない価値」のあるホテルが増えたのです。

外資系ホテルへの対抗策としてのリノベーション

リノベーションによって個性を出すことに加えて今までになかった魅力を加えることによって、激化するホテル業界の生き残り競争に打ち勝つチャンスを見出しているのです。2005年までに、東京全日空ホテルは90億円、ホテルオークラは20億円を投じてリノベーションに取り組んできました。投資した以上の付加価値を得るために、既存ホテルが外資系ホテルに対してアクションを起こしているのです。