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日本の宿泊業界における、OTA対策の重要性

2016.01.14

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2015年6月に東京で開催されたオンライン旅行業界の国際会議「Web in Travel (WIT) 2015」では、OTAの台頭について熱い議論が交わされました。

OTAは、無線ネットワークを経由したデータの受信・同期等のことを指し、ケーブルを使用した有線接続する方式と対比されることが多くあります。特に、旅行業界では年々その存在感を増してきています。

訪日観光客の多くが、旅行中にOTAを活用し、宿泊施設の予約やアクティビティの検索・予約を行っていることがわかっています。つまり、今後のインバウンド市場の拡大に伴い、宿泊施設ではOTA環境を整えることが優先課題であると言えるのではないでしょうか。

OTA予約がもたらすメリットと課題点

「WIT 2015」では、訪日客によるOTA経由での宿泊予約が増加していることについて、多くの業界関係者が意見を述べました。従来の販売経路に加えてOTA経由での予約が可能となったことで、予約数の増加が見られたという大きなメリットがある一方、いくつかの問題点も浮き彫りになっています。

例えば、滋賀県の温泉旅館「紅鮎」館主の山本氏によると、「宿と宿泊者のコミュニケーション不足」が感じられると指摘されています。

民宿や旅館では、これまでは電話による予約が主流でした。電話では宿側と宿泊者が直接会話することができ、細かなニーズや予約内容の確認などが可能だったため、旅館や民宿ならではのきめ細やかな接客に反映されていたといえます。

しかしOTA予約ではこういったニーズの拾い上げができないまま、予約日に初めて宿泊者と宿側が対面することになります。結果、宿泊者の満足後が低くなったり、予約内容の理解に齟齬が生じてしまうケースもあるというのです。

「紅鮎」では、こういった課題に対応するため、予約日の2日前に確認の電話を入れるサービスを行っています。しかし電話ができないケースもあり、十分に対応できているとはいえない現状にあります。

増加するOTA予約への対応、ケア方法については、日本の宿泊業界全体で取り組むべき大きな課題だと言えるのではないでしょうか。

<参考データ>Travel vision「OTAの台頭や訪日客の増加で旅館の対応に変化」