ホテルを経営していく上で、非常に重要な問題となるのが「税金」です。客室ごとの空調やボイラー、照明、エレベーターなどの設備は、ほとんどが償却資産として計上されます。内容や価値に応じて、ホテルオーナーは償却資産税を支払わなくてはいけません。また、ホテルが建っている土地や建物についても、固定資産税や都市計画税なども払う義務があります。
ここで気をつけなくてはいけないのが、正しい申告ができているかどうかです。もちろん「脱税」や「節税」に関してのことではありません。実は、税金を払いすぎているケースが少なくないのです。
二重に資産を申告していませんか?
税金を払いすぎている例の一つとして、建物評価額の中に一部償却資産を計上してしまっているというケースが挙げられます。償却資産には償却資産税がかけられていますので、このまま両方で計上してしまうと二重に資産を申告して納税していることになるのです。払い過ぎに気がついた場合は修正申告をすれば、払い過ぎていた税金の還付を受けることができます。
しかし、償却資産と建物の区別はなかなか難しいものもあり、盲点となって税金の払い過ぎに気がつかない場合も多いのです。もちろん脱税になるよりは良いのですが、税務署は払い過ぎを指摘してはくれないので、気がつかなければずっと過剰に税金を納めることになります。
固定資産税にも盲点が!
また、こちらも盲点となるのが、固定資産税評価額と実際の評価額の乖離です。固定資産税額の算出は「各基準年度における価額算定表」を作って課税されますが、この表は納税者が開示を求めない限り見ることはできません。表の作成者は行政の担当職員であるため、計算ミスや実態にふさわしくない評価がされていても、納税者は簡単に知ることができないのです。
さらに、評価替えは3年に1度であり、3年間が一括りで計算されることになります。物価上昇や再建築にかかる費用などは、現在の状況がすぐに反映されるわけではありません。このため、なかなか固定資産税が下がらないといったケースも発生します。
固定資産税の算出法は非常に複雑で、しかも一般の目にはその内容が明らかにされていません。脱税になると困るので、とりあえず言われるがままに納税している、というホテルオーナーの方は多いと考えられます。
二重納税や税金の納めすぎに気がつくのは簡単ではありませんが、カットできた分は新しいサービス展開の資金として有用できます。ぜひ定期的に見直しをして、払い過ぎた税金は取り戻すようにしましょう。