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「日本の魅力は何でしょう?」の質問に答えられますか?

2015.11.14

書籍名
観光ニッポン最前線!Amazon
著者
洋泉社MOOK
出版社
洋泉社
価格
1,404円

「日本の魅力は何でしょう?」
誰かにそう聞かれたとき、あなたは何と答えるでしょうか。
アニメ?マンガ?和食や富士山?日本に住んでいる日本人ほど、意外と日本の魅力について思い浮かばないのではないでしょうか。

本書では、『外国人が好きなあなたの知らないニッポン』と題して、外国人の目から見た日本の魅力について深く掘り下げています。本書を読むことで、日本人だからこそ気がつかない、日本のいいところを発見することができるのです。

外国人が求めている日本の理想像が明らかに!

本書の特徴は、欧米からアジアなど、さまざまな国と地域の外国人にインタビューを行い、彼らが求めている「日本」の姿を浮き彫りにしていること。観光に来た訪日外国人を魅了するには、「日本が売り込みたいもの」をアピールするのではなく、「外国人が好きな日本」を知ることが最も大切です。その点において本書では、具体的なデータを元に「外国人が好きなニッポン」を明らかにしていきます。

例えば、新宿歌舞伎町にある「ロボットレストラン」についての記事は、日本人にとって意外な事実を述べています。

アジア最大の歓楽街として知られる歌舞伎町にあるロボットレストランは、2012年にオープンした比較的新しいお店です。そもそもサラリーマンの客層をターゲットにしていたにも関わらず、今では欧米からの観光客がこぞって訪れる超人気観光スポットに。これは何故なのでしょう?

本書の分析によると、同点が人気の理由は大きく分けて2つ考えられるといいます。1つは、日本ではまだ少ない「ショーを楽しみながら食事ができるお店」であること。欧米の都市では、エンターテイメント・ショーを見ながら食事を楽しむお店が非常にたくさんあります。家族と、友人と、ナイトライフを楽しむのは欧米の人々にとってごく普通のこと。日本への海外旅行の際も、楽しいナイトライフを満喫したいという思いがあるのです。

もう1つは、旅先での非日常を求めている外国人達に、「ぶっとんだ内容のショー」がマッチしたこと。「ロボットレストラン」では、きらびやかな電飾の中を、庶民的な親しみやすさのある女の子たちとロボットが歌い踊るショーが展開され、その空間はまさに近未来そのもの。ど派手でSFめいた店内に、観光客は大興奮なのだそうです。

データブックとしても活用できる充実のデータ

本書はムック形態を活かして、さまざまなデータを見やすく、コンパクトにまとめています。

例えば本書の前半部分は「観光スポット編」の人気ランキングが紹介されていますが、写真が豊富で各スポットの魅力がわかりやすいのが特徴。日本の人気観光スポットを、外国人観光客たちがどのように体験し、楽しんでいるのかビジュアルで確認できるのも嬉しいところです。

他にも、「体験(アクティビティ)篇ランキング」では日本全国の観光スポットがトップ20までランキング付けされ、外国人観光客たちが体験したい「cool!な日本」が一目でわかるようになっています。

ここでは、神社・仏閣など日本伝統の物に触れたときの「cool!」や、原宿・大阪といった場所の日本独特な人混みへの「cool!」など、外国人ならではの感覚で日本の良さを紹介しています。日本人にとっては当たり前すぎて何が良いのか分からないようなスポットでも、本書の推察ではそのcoolさがどんどん浮き彫りになっていくのです。

確かなデータに裏づけされた、新しい視点。これが本書の一番の魅力と言えるのではないでしょうか。

スペシャルインタビューは必見

本書では、さまざまなテーマで日本を愛する外国人たちにインタビューを行っています。これらの記事は、充実した内容の本書の中でも特に必見です。

例えば、本書冒頭を飾るのは、日本を世界に紹介する旅行サイト『ジャパン・ガイド』の代表運営者であるステファン・シャウエッカー氏へのインタビュー。今や月間200万人のユーザーを誇るこちらのサイトですが、ステファン氏はこのサイトを開設する数年前まで日本についての知識はほとんどなかったのだといいます。

特に関心もなく、よく知らなかった国・日本について、ガイドサイトまで作ってしまったステファン氏は、一体何に駆り立てられたのでしょう?本書では、そのきっかけが2人の日本人男子学生との出会いだったと述べています。

日本人に対して、「勤勉でカメラを首から提げているツアー旅行者」というイメージしか持っていなかったステファン氏。2人の友人との交流を通して日本に興味を持ち、実際に日本に旅行してみたことで「ありのままの日本」の新鮮さに魅了されたのだそうです。

日本人から見ると雑多でごみごみした印象の東京の街も、ステファン氏の目には広大でエキサイティングに見え、一方で日本独特の豊かな自然の美しさにも魅せられたのだとか。こうした、外国人視点での日本の良さについて、本書は多国籍な着眼点から分析しています。

本書を読み終えたとき、我々は「日本て、意外とイケてるのね」と思うのではないでしょうか。住んでいる人自身が誇りを持ち、良さを知っている国こそ、そこを訪れる観光客にとっても魅力的に映ります。インバウンドビジネスに携わる人は、ぜひ本書を手にとってみてはいかがでしょう?

より多くの外国人観光客を呼び込み、多くの刺激を与えるために、本書は非常に有効です。また、自身で読むだけでなく、本書をオープンスペースなどにおいて訪れる人に読んでもらうのも良いかもしれません。日本を良く知ってもらい好きになってもらうために、本書はとてもオススメの一冊となっています。

レビュワー

観光ニッポン最前線!

著者:洋泉社MOOK

出版社:洋泉社

¥1,404

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