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相手にとって本当に心地よい上質な気配りとは?コミュニケーションをスムーズにするスキルガイド

2016.11.18

書籍名
名門ホテルコンシェルジュの心をつかむ上質な気くばりAmazon
著者
角田 陽子
出版社
日本能率協会マネジメントセンター
価格
1512円

さりげなくて、心地いい。ハリウッドスター、各国王室、世界のVIPに選ばれる“おもてなし”の真髄。なぜ、あの人は信頼されるのか?おもてなしの“プロ”が実践する上質な気くばりとは?

東京オリンピックが4年後に迫り、日本を訪れる外国人観光客の数が年々増加する中、都市部を中心に新しいホテルの建設・開業が相次いでいます。多くのホテルでは、外国人観光客に対する接客スキルの向上を目標とし、政府主導のマニュアル作りなども進められています。

日本のホテルや旅館では日本人特有の「おもてなし精神」を味わうことができるとして、海外からのゲストからの期待は高まるばかりです。

しかし、実際に現場で働く日本人スタッフにとっては、外国人観光客への対応は手探りであることもしばしばです。日本人ならではの細やかな気遣いが喜ばれることもあれば、日本人の感覚でのおもてなしは過剰サービスと受け取られることもあるからです。

礼儀正しさや気配りは、度が過ぎると慇懃無礼やうっとうしさに変わりかねません。本当に上質な気配りは、サービス業に携わる人だけでなく、日常生活においても人間関係をスムーズにする武器になります。

そこで、ぜひ多くの人におすすめしたいのが、本書『名門ホテルコンシェルジュの心をつかむ上質な気くばり』です。

著者は日本でのコンシェルジュの草分け的存在

本書の著者である角田陽子氏は、大分県出身で明治学院大学英文科を卒業後、赤坂プリンスホテルに入社してコンシェルジュ業務に携わりました。その後、ヒルトン東京ベイ、ホテル西洋銀座、マンダリンオリエンタル東京と名門ホテルのコンシェルジュを歴任した経歴の持ち主です。

世界のVIPを接遇し20年にも渡って腕を磨いてきた角田氏は、現在は渋谷にあるセルリアンタワー東京ホテルで現役を続ける傍ら、武蔵野大学客員教授を務め、おもてなしやマナーについての講演も多数こなしています。

地位も国籍もさまざまなゲストを接遇し、多様なシーンに対応してきた著者だからこそ培うことのできた真に上質な気配りについて、本書ではじっくりと学ぶことができます。

著者が大切にしているのは、「相手にとって本当に心地よい気配り」です。本書を通して著者の培ってきたスキルを学ぶことができれば、現場でもすぐに役に立つことでしょう。

本書は、すでにコンシェルジュとして働いている人はもちろん、ホテルや旅館で働いている人、接客サービス業に従事している人にはぜひ一読して欲しい良書だといえます。

本書に書かれていることは、特別なことでも難しいスキルでもありませんが、基本的でありながら忙しい日々の中でつい忘れがちなことばかりです。だからこそ、多くの読者にとって仕事の基本となる部分から学びなおすことのできる良い機会となってくれるのではないかと思います。

人とのコミュニケーションをスムーズにするスキルガイド

本書は、コンシェルジュという仕事が大きなテーマとなっています。コンシェルジュは常に多くの人と接する仕事であり、ときに無理難題に思える要求をされても機敏に対応しなくてはいけません。

柔軟さと臨機応変さで、どんな難題にも最適な対応をするのがコンシェルジュです。だからこそ、コンシェルジュに必要なスキルは他の業種のビジネスシーンでも役に立つと考えられます。

例えば、本書第1章では『心をつかむ気くばり 10の原則』が紹介されています。ここでは裏表なく人に接することや相手本位で考えること、「ノー」とは言わないけれど「イエスマン」でもいけない、といった原則が書かれています。各原則とそれに対する著者の解説を読み進めるうちに、ホテルという場だけでなく交渉や会議の場でも通用するスキルだということが実感できます。

対人コミュニケーションに不安のあるひと、会議や商談の場でイニシアチブを取れるようになりたい人などは、この10の原則が役立つのではないかと思います。もちろん、普段のコミュニケーションの場でも非常に役立ちそうです。

本書第2章と第3章では、実際の仕事の場で身につけておきたい気くばりのルールが解説されています。与えられた仕事をただこなすのではなく、「求められていること+α」の結果を生み出すという著者の考え方を擬似体験することができるので、ぜひじっくりと読みこんで欲しい部分です。

続く第4章では、著者ならではのコンシェルジュの電話・メール術が公開され、新人コンシェルジュにとって良いお手本となりそうです。本書を常に手元に置いておけば、予想外の自体にも落ち着いて対応できるのではないかと思います。

第5章では、心をつかむ気くばりポイントが述べられており、著者が長年に渡って身につけた気くばりスキルの一端を垣間見ることができます。

本書全体を通して、「気くばり」というものが人と人との間をいかにスムーズにつなぐのに役立つかが再度確認できます。インターネットの普及やSNSの発達などで複雑化しているといわれる人間関係の構築方法について、本書は、今一度見直す良い機会となってくれるのではないでしょうか。

相手を喜ばせ、相手を心地よくする気くばりを学びたい人は、ぜひ本書を手にとってみてください。仕事の場ではスキルアップに、日常生活においては周囲の人とのコミュニケーションを円滑化するのに、きっと強い味方となってくれるはずです。

接客業に従事している人にはバイブルとなりうる一冊でもありますので、ぜひ繰り返し通読して内容を自分の糧としてみてはいかがでしょうか?

レビュワー

名門ホテルコンシェルジュの心をつかむ上質な気くばり

著者:角田 陽子

出版社:日本能率協会マネジメントセンター

¥1512

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