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今後さらに求められる!?「ムスリム」訪日客のためのハラール対応指南書

2016.05.27

書籍名
ハラールマーケット最前線Amazon
著者
佐々木 良昭(監修)
出版社
実業之日本社
価格
1620円

飲食・宿泊・観光業界必読!国内で急速に進むハラール対応ビジネス。ハラール=イスラム法で許される行為や食べ物。増え続けるイスラム教徒観光客。古都・京都のハラール戦略、H.I.Sのイスラム教徒向けツアー、イオンモール幕張新都心の礼拝施設。日本独特の「ハラール認証」とは?

日本を訪れる外国人観光客のうち、半数以上がアジアからの訪日客です。

これまでは「爆買い」でおなじみの中国人観光客や韓国、台湾からの訪日客数が大半を占めていましたが、最近ではそれ以外のアジア地域からの訪日客数も大きく伸びています。

中でも、今後大きなマーケットを形成すると期待されているのが、「ムスリム」の訪日客です。ムスリムとはアラビア語で「神に帰依するもの」を意味し、イスラム教徒のことを指します。

世界中のムスリム人口は約16億人といわれており、これは世界の総人口の約23%にあたります。その半数は東南アジア地域に集中しており、今後もさらにムスリム人口は増加していくと予想されています。

そんなムスリムをターゲットにしているのが、「ハラールマーケット」です。「イスラムインバウンド」「ハラルツアリズム」などと呼ばれることもあり、日本だけでなく世界的に見てもムスリムの人たちに関わるマーケットは非常に大きな伸びしろがあるのです。

本書『ハラールマーケット最前線』は、今後やって来るハラールマーケットの波に上手く乗るために欠かせない一冊だといえます。日本ではあまり知られていないムスリムの人たちの旅行事情、受け入れ側として整えておかなくてはいけない準備など、専門的な情報が集約されているのです。

ハラールマーケットの基礎知識を学べる一冊

本書は、「ハラールとはなにか?」という基本的な解説から始まります。

日本ではまだあまりなじみのない「ハラール」という言葉ですが、インバウンド市場においては非常に重要な言葉です。イスラム法において許される行為や食べ物のことを、「ハラール」と呼びます。

逆に禁じられているものは「ハラーム」です。日本でも良く知られている「ハラーム」は豚肉やアルコールが挙げられますが、女性が夫以外の男性の前で肌を見せることや、殺人、窃盗も典型的な「ハラーム」の一つです。

しかし細かな解釈は国や宗派によって異なるため、イスラム教やその経典である『コーラン』になじみの薄い日本人にとって、「ハラール」と「ハラーム」は非常にわかりにくいのが実情です。

本書では、この点についても丁寧に解説。『コーラン』に基づく「ハラーム」の概念や、イスラム教の世界観についても簡潔にまとめられています。

イスラム圏の実態についても触れているため、本書を通読することで、イスラム教への理解がぐっと深まることは確実です。

ハラール認証を受けるためのガイドブックとしても有効

日本にやってくるムスリムの多くは、食事シーンで「ハラールかどうか」を気にします。また、ホテルや旅館に泊まる際は、礼拝をどこで行えばいいか聞いてくるかもしれません。

受け入れ側の知識不足でムスリムたちの戒律を破るという事態を招くことがあれば、そこへはもう二度とムスリムの客は訪れないでしょう。

しかし、幾つかの制約はあるものの、日本へ旅行にやって来るムスリムたちはそこまで神経質ではありません。ある程度のことには目をつぶり、日本旅行を楽しもうという気持ちを強く持っています。

とはいえ、無駄なトラブルを起こさないよう互いに努力することは重要です。

そこで役立つのが、専門機関で認証を受けることにより、ムスリムたちが安心して飲食したりサービスを利用することができるようになる、「ハラール認証制度」です。

本書では、飲食店やサービス業が「ハラール認証」を受けるためにどのような手順を踏むべきか詳細に解説しています。費用や問い合わせ先についても細かく掲載しているため、ムスリム客の受け入れを考えている店舗や企業は、ぜひ本書をご一読頂きたいと思います。

レビュワー

ハラールマーケット最前線

著者:佐々木 良昭(監修)

出版社:実業之日本社

¥1620

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