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H.I.S.×神奈川県!旅行業者と自治体の連携で、今後のインバウンド観光促進に期待!

2016.05.19

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日本政府が海外からの観光客誘致に力を入れる中、各地方自治体でもさまざまな観光促進対策が実施されています。しかし多くの自治体では、他の地域との差別化に苦労しているのが現実で、観光地はどこも似たような観光PRを行っているというのが実情です。

より多くの外国人観光客を呼び込むためには、各都道府県が独自色を打ち出し、「ここへ行きたい」と思わせる工夫が必要です。しかし地方自治体はそれぞれが「自分たちの思う、地元の良さ」をアピールすることが多く、これが結果的に似たり寄ったりの観光地アピールにつながってしまっているのです。

今回注目したいのは、神奈川県が新たに取り入れた取り組みです。それは、「観光業者と自治体が一体になって観光促進を行う」というものです。



大手旅行業者H.I.S.と神奈川県が協定を締結

3月29日、H.I.S.と神奈川県はインバウンド観光促進に関する協定を結びました。この協定はH.I.S.からの申し入れによって実現。ラグビーワールドカップ2019 および 東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会とその先を見据えて、世界各国に拠点を持つH.I.S.が送客に力を入れ、神奈川県のインバウンド観光を活性化させるという目標を掲げています。

神奈川県は東京都に隣接し、羽田・成田の両空港からのアクセスも良く、大型客船が入港できる横浜港も抱えています。県内の人口が多く、経済規模も大きいにも関わらず、インバウンド観光の面においては出遅れ感がありました。

観光庁の宿泊旅行統計調査によると、同県の2015年の外国人延べ宿泊者数は約217万人泊で、全国9位という結果でした。これは、1位の東京都(約1778万人泊)と6位の千葉県(約348万人泊)に比べると、少なく感じられます。

この理由をH.I.S.の平林社長は「観光資源をもっとアピールすべき」と指摘。神奈川県の「観光素材を生かしきれていない」という弱点を、同社の持つ外国人観光客に関するノウハウでカバーしていきたいという考えです。

例えば、同社の持つグローバルネットワークを活かして、さまざまな外国人観光客の持つニーズを調査し、結果を同県に提供するとしています。さらに、同社の海外店舗でPRを行う、訪日客を対象とした着地型観光の共同開発と販売を行う、などの約束もされています。

地方自治体と旅行業者の一体感で効果的な観光促進を

このような「地方自治体と旅行業者による連携」の成功例として、京都市の取り組みが挙げられます。京都市は京都府旅行業協同組合や大手旅行会社と連携し、さまざまな旅行商品の開発を行いました。行政が自ら推進母体となることで地域の一体感が生まれ、大きな波及効果を生み出すことに成功したのです。

広報の面でも、市の広報版や鉄道会社を巻き込み大がかりなプロモーションが実現し、テレビや新聞に大きく取り上げられました。思わず京都へ行きたくなる鉄道会社のCMは、今だに多くの人の記憶に残っているのではないでしょうか。

以上のように、今後のインバウンド観光においては地域だけの力でなく、ノウハウを持つ旅行業者との連携・協働が欠かせません。地域の事業者・行政・旅行会社の三者が一体となることで、新たな客層を呼び込む力を生み出すことが可能になるのです。

<参考>
株式会社エイチ・アイ・エス プレスリリース
「H.I.S.×神奈川県 インバウンド観光推進に係る協定を締結」(PR TIMES)
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000334.000005110.html

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