おすすめ書籍
日本で初めて民事再生をした男=南原竜樹。その男がこんどは日本旅館の再生へ挑みはじめた。お客さんが離れ週一営業にまで追い込まれ赤字経営を続けていた愛知県知多半島の海に望む1軒の老舗高級旅館=呼帆荘。そこに独自の経営理論を持ち込んで黒字回復へと戻してみせた手法とは。旅館業との出会いから自ら現場で見て学び闘い続けた男が伝える事業を立て直すための鉄則と明解な教え。
今、日本の旅館の多くが経営危機に陥っており、有名旅館といえど倒産の可能性は少なくありません。
しかし一方で、世界的に見ると日本の旅館には高い評価が集まっているのも事実です。日本の旅館数は減少傾向にあるものの、インバウンド市場の拡大によって新たなニーズが生まれつつあるのです。
経営が傾いた旅館は、そのままにしておけば倒産を免れません。しかし「再生」させることは可能です。
傾いた旅館をいかにして蘇らせるか。
本書では、実際に成功したロールモデルを踏まえつつ、「再生」のためのノウハウを学ぶことができます。
実際に旅館再生を成功させた著者が教えるノウハウ
本書の前書きによると、この10年ほどで日本の旅館は10000軒以上が倒産に追い込まれているのだといいます。また国税庁の発表によると、旅館全体のほぼ9割は赤字経営に陥っているのだそうです。
ほんの数十年前まで、日本国内で宿泊施設といえば旅館は大きな存在感を持っており、各旅館独自の「おもてなし精神」は日本人旅行者の憧れであったともいえます。そして現在では、世界的に日本の「おもてなし」の文化が広く知られるようになったこともあり、日本の旅館は海外からも多くの関心を集めているのです。
しかし、実際は多くの旅館が廃業してしまい、老舗と謳われた名旅館でさえも経営悪化に苦しんでいるのが実情です。
そんな状況に危機感を抱き、旅館ビジネスの存続を目指して立ち上がったのが、本書の著者である南原竜樹氏です。
著者はもともと、自動車の輸入販売を中心に活動していたといいます。著者はリーマンショックによって25億円の損失を抱えるも、独自の経営理論によって見事にV時回復を果たしたという異例の経歴の持ち主で、現在では医療系人材コンサルタント業やレンタカー業といった多方面に活躍しています。
一度はどん底を味わっている著者だからこそ、「再生」のノウハウにはムダがありません。
また、著者は旅館文化に対する強い愛情も持っており、本書全体を通して「日本の旅館は世界に誇るべき文化だ」という熱意が伝わってきます。
情熱的かつ合理的な著者が本書でだけ紹介する、旅館再生のための実践ノウハウの数々はすぐに役立つこと間違いなしです。旅館業に携わっている人にとって、わかっていたつもりで実は気がついていなかった盲点に気がつかせてくれる一冊となっています。
南原流再生術を体験するための一冊
本書では、「旅館で働く人」、「IT」、「マーケティング」の3点にスポットを当てています。
第2章から第3章までは、経営難の旅館が生き残るために知っておくべき知識と、それを活かすために経営者・女将に求められるスキルを解説しています。なぜ経営難になるのか、それを改善するためにはどうしたらいいのかという、段階に応じての解説となっています。
第6章では「旅館マーケティング」について、具体的な例を交えつつ説明していきます。他の旅館との差別化や効果的な集客アピール法など、今後の生き残りのために役立つノウハウが惜しみなく公開されています。難しいマーケティング用語や業界用語などは出てこないため、マーケティング知識のない初心者のかたでも読みやすいのが嬉しいところです。
第7章では、総括として旅館とITの結びつきを深めることを提案しています。今や旅行の申し込みから宿泊先の手配まで、ネット上のクリック一つでできる時代です。旅館が生き残っていくためにはITこそ活用すべき、というのが著者の強い主張となっています。
人とハコとネットをフル活用し、経営難の旅館を再生する。
これが南原流、旅館再生術なのです。
すぐに良く効く「特効薬」が欲しい人に
規模の大きい旅館ほど、経営悪化の影響は雪だるま式に膨らんでいってしまいます。経営難は風邪と同じで、早めの治療が欠かせません。
今後、訪日外国人客を中心とした、新たな旅館へのニーズ層が生まれることも予想されています。日本が世界に誇れる旅館文化を残していくためにも、多くの旅館が「再生」することが望まれています。
すぐに効き、よく効く旅館再生のための特効薬が欲しい人には、本書をぜひ手にとって欲しいと思います。本書中には、読み終わったらすぐにも実践できる経営健全化のためのノウハウが多く書かれています。
さあ、あなたも本書を手に取り、赤字経営の旅館を自らの手で再生させてみませんか?