国内の旅行客の移動だけでなく、訪日外国人観光客にとっても人気の高い高速バス。費用を抑えて移動できるというメリットがあるものの、乗り場がわかりにくい、外国語対応が遅れているなどのデメリットも多くありました。
しかし、新宿に国内最大級の高速バスターミナルが今月4日にオープン。サービスの充実と従来のバスターミナルとは一線を画す設備に注目が集まっているのです。
新感覚の高速バスターミナル「バスタ新宿」とは?
新宿南口にオープンした「バスタ新宿」には、これまであった駅周辺の高速バス乗り場のわかりにくさ、使いにくさを解消するため、さまざまな工夫が凝らされています。
「バスタ新宿」は、JR東日本の線路上に築かれた建物の2〜4階部分に整備され、4階部分が高速路線バスの乗降スペースとして機能。また、タクシー乗り場、JRと接続する改札口などが同じ建物内の複数の階層に分けて設置されているため、鉄道・バス・タクシーの乗換えがスムーズになりました。
また、同建物(JR新宿ミライナタワー)は、飲食店や買い物ができる商業施設を含む複合施設としてオープン。一部の店舗はバスの発着時刻に合わせて深夜営業も行われ、バスの利用者が発着前後に時間を潰せる場所としても期待されています。
今までの乗り場は、運営会社によってバラバラで新宿駅周辺の19ヶ所に分かれていたことから、利用者にとっての利便性向上だけでなく、周辺道路の混雑などの影響も緩和されることが期待されています。
乗り場を一ヶ所に集約したことで、1日の発着便数は約1600便、乗降客約4万人が予想される日本最大級のバスターミナルとなりました。
さらに、「バスタ新宿」内には東京観光情報センターも設置されています。同センターでは、日本語はもちろん、英語・中国語・韓国語での案内を受けることができ、国内外から東京を訪れる人にさまざまな観光情報を提供しているのです。
「バスタ新宿」が新宿の交通機関を盛り上げる!
4月3日(日)に新宿駅南口で行われた『バスタ新宿オープニングセレモニー』に出席した石井国土交通大臣は、「バスタ新宿は、全国の観光情報を提供する拠点としての設備も兼ね備えており、『観光先進国』を目指す取り組みにも大きく貢献するものと期待しております。」と述べました。
新宿駅の利便性を高めるという役割を持って誕生した「バスタ新宿」は、全国39都府県300都市を結ぶ拠点となりました。
一方、JR東日本・高速バス各社が絡んだこの事業は、同業者が集まることでどう作用するかも注目されています。今後、各社が互いに競合し客を奪い合うのではなく、「バスタ新宿」を介してより利用者に使いやすくわかりやすいサービスが提供されることが期待されます。
利用者は、新宿と到着地点を行き来するだけでなく、新宿を乗り換え地点として複数会社のバスや鉄道を利用しやすくなります。鉄道とバス、タクシーのいずれを選択したら安く済むか、または目的地までどの交通手段を利用すれば早く行けるかの判断もしやすくなるのです。
駅周辺の限られたスペースを最大限に活用し、道路渋滞を緩和する効果も期待されている「バスタ新宿」は、外国人観光客にとっても注目の存在だといえるのではないでしょうか。
<参考>
新宿高速バスターミナル | バスタ新宿、SEBT
http://shinjuku-busterminal.co.jp/
国土交通省ニュース「バスタ新宿オープニングセレモニーに石井大臣が出席」
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_004671.html