栃木県が発表したところによると、2015年の観光客数は前年比3.9%増の9052万5千人となり過去最高を記録、初めて9千万人を突破したということです。また、外国人宿泊者数は前年比23.8%増の18万1千人となり、こちらも過去最高を記録しています。このうち、台湾や中国、韓国といったアジアからの訪問者数が大きな割合を占めていることがわかっています。
震災後、順調な回復を見せる観光業
栃木県を訪れる観光客数は、2011年の東日本大震災をきっかけに激減しました。しかし翌年以降順調な回復を見せており、県全体で見れば震災前の2010年を超える宿泊数へと戻ってきています。これは訪日外国人観光客にもいえることで、いまだ震災前の水準には戻りきっていないとはいえ、3年連続で増加しています。
栃木県産業労働観光部観光交流課では、観光客の入込数と宿泊数について調査を実施、その結果についてレポートにまとめ公開しています。
この調査結果を詳しく見ていくと、観光客数が最も多かった都市は宇都宮市で1470万1千人、次いで日光市(1195万7千人)、那須塩原市(990万人)となっています。また、外国人宿泊数で見ると、宇都宮市の7.8万人が最も多く、次いで日光市(7万人)となり、両市合わせて県全体の83.7%を占めていることがわかります。
なぜ宇都宮市と日光市に多くの外国人観光客が訪れるのか?
考えられる要因はいくつかあります。まず第一に、東京からほど近く交通アクセスも良好であるため、多くの外国人観光客が足を延ばしやすい立地であること。また、自然が豊かで温泉や公園、農場が多く、自然を体験できるアクティビティが充実していることも重要です。
さらに、日光東照宮をはじめとする社寺・史跡も数多く存在しているため、日本文化に興味のある外国人観光客が積極的に訪れたいエリアであると考えられるのです。
海外から日本を訪れる観光客、特にアジアから日本にやって来る観光客の多くは、日本ならではの四季折々の風景や、独自の文化・史跡に触れてみたいという希望が強くあります。そして彼らの多くはツアーで日本旅行を楽しむ傾向にあるため、自然と栃木県内のメジャーな観光都市を訪れることが多くなるのではないでしょうか。
結果、栃木県を訪れた外国人観光客の口コミやネット上の投稿が増え、それが呼び水となってさらに多くの訪日アジア人観光客を呼び寄せていると考えられるのです。
ここ数年で、LCCの就航やビザ緩和などによりアジアからの訪日客が増えています。今後さらに地方の観光地へ足を延ばす外国人観光客が増えることでしょう。
<参考>
栃木県観光交流課 「平成27年(2015)栃木県観光客入込数・宿泊数推定調査結果について」:
http://www.pref.tochigi.lg.jp/f05/kankouchidukuri/houdou/irikomi2015.html