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日本を訪れる外国人観光客のうち、実に4分の3がアジアからの観光客で占められています。そのうちの中でも韓国と中国からの観光客数は非常に多く、特に中国からの観光客は日本で大量の買い物をしていくことでも有名です。つまり、観光ビジネスにおいて、中国人観光客の動向は非常に重要だといえます。
意外と知らない中国人のこと
家電量販店で中国人観光客が買い物をしている姿を、見たことがある人も多いのではないでしょうか?または、人気観光スポットで、写真撮影する中国人ツアー客に出会ったことがある人も少なくないのでは?
お互いに目にする機会も多く、国家間の距離も近いので何かと気になる存在である中国の人々ですが、実はお互いにあまり良く知らないことがたくさんあります。本書では、そんな中国の人たちの特徴や本音、集客のためのポイントについて非常に細かく具体的に書かれています。
イメージや中途半端な知識だけで中国人観光客に接すると、知らず知らずのうちに不快な思いをさせてしまっていたり、失礼な態度に思われてしまうことも。近いようで遠い中国だからこそ、あらかじめ互いの文化の違いをよく知っておく必要があるのです。
中国人観光客誘致のための実践書
本書の特色は、日中の文化の差異を知り尽くしている著者が、「中国人観光客を呼び込む」という目的を達成するために書いた一冊であるということ。中国の人々の嗜好やライフスタイルから、日本へやって来る際の目的や楽しみ、中国市場を左右する年代別の対処法など、インバウンドの現場に最大限スポットを当てた内容となっています。
日本人の感覚だけでは対応しきれない中国人観光客のさまざまな側面を、より実践的に効果的にケアしていく方法が詰め込まれている本書。今後の日本観光市場において、非常に有効な実用書の一つであるともいえます。
特に、第3章のシーン別施策がまとめられている部分は、中国人観光客をターゲットにしている宿泊施設にとっては見逃せない内容となっています。例えば「旅館とホテルではどちらが好まれますか?」といった疑問に対して、本書では旅館の説明不足さを指摘しています。
著者によると、中国人観光客たちは日本らしい雰囲気を味わいたくて旅館を利用することを好むのですが、館内では靴を脱ぐことや浴衣の着方、布団の出し入れといった、日本人利用者にとっては当たり前のことに戸惑うのだそうです。ほんの一言説明を加えたり、浴衣より着やすい作務衣を取り入れることで、中国人観光客はさらに増えるだろう、と本書は述べています。
実践的な中国語も収録
中国人観光客を迎えるにあたり、何より重要なのは言語だと考える人も多いのではないでしょうか。中国語は発音こそ難しいものの、漢字を使うので文面を見ると何となく意味がわかることも珍しくありません。
本格的な中国語レッスンを受けなくても、本書の巻末に掲載されているシーン別中国語会話を頭に入れておくかメモしておくだけでも対応の幅が広がるのではないでしょうか。また、「レジ」や「非常口」といった案内表記の中国語表現も載っているので、必要に応じてすぐに使うこともできます。
中国市場戦略に長けている著者が送る、日中間のインバウンドマーケティングを成功させるための必勝本である本書。中国人観光客について理解を深め、中国人観光客を誘致するためには必読の書であるといえる充実した内容です。海外からの観光客を呼び込みたいインバウンド業を経営する人には、強く薦めたい良書となっているので、ぜひ一読してみてはいかがでしょうか?