もし、あなたが外国人に「日本に行くならどのシーズンがベストかな?」と聞かれたらどう答えますか。桜の美しい春?紅葉が見頃な秋?豊かな自然が楽しめる夏もいいかもしれません。
しかし、実は最もオススメしたい季節は、「お正月」です。では、なぜ「お正月」が外国人観光客にオススメできるのか見ていきましょう。
外国人観光客の隠れたニーズとは
外国人観光客は、私たち日本人が思うよりずっと強く「日本らしさ」を求めています。最新のテクノロジーや緻密な職人技を活かして作られた近代的都市や、土日祝日でもお店が開いているという便利さよりも、「イメージ通りの日本」を体験したいのです。
例えば、日本を訪れる外国人観光客の中には、「サムライやニンジャに会いたい」と本気で思っている人が珍しくありません。時代劇に憧れて、町屋のある風景を見たいと日本にやってくる人もいます。
日本人からすると、日本の持つさまざまな技術や、今の日本の素晴らしさを感じて欲しいと思ってしまうところです。しかし田園風景や自然豊かな山村地域、昔ながらの生活風景などが訪日観光客の心を捉えることは珍しくありません。
「日本昔話」のような、叙情的でどこか懐かしさを感じるような日本の原風景こそ、外国人観光客が本当に見たいと思っているものの一つなのです。
その一方で、現代ではそういった風景を見られる場所は非常に限られています。特に東京や大阪といった都市部では、海外の都市とあまり変わらない光景が日々繰り広げられています。
そんな光景が激変するのが、「お正月」。日本の文化において、1年で最も大切である「年越し」から「お正月」のシーズンは、日本ならではの雰囲気が味わえる特殊な期間です。着物で出歩く人も多く、神社では屋台や市が立っていたり、街中には伝統的なお正月飾りが飾られていたり。
おせち料理などの伝統的な和食も口にする機会が多く、テレビ番組も和風一色といった雰囲気の中なら、外国人観光客の多くが特別な日本らしさを満喫できるのではないでしょうか。
一石何鳥にもなる、「お正月」の魅力とは
「お正月」を外国人観光客にオススメしたい理由は、まだまだあります。例えば、「初詣」。多くの人がお参りに訪れるこの季節、ぜひたくさんの参拝客に混じってお参りを体験して欲しいと思います。
できれば、メジャーで人気の大きな神社より、町の氏神様といった小さめの神社を薦めたいところ。普段の暮らしに根ざした日本ならではの宗教観や、厳かなお正月の雰囲気を味わえるのではないでしょうか。
海外でも年末から年始にかけてはイベントシーズンですが、欧米では年越しは派手に祝うものの、新年については日本ほどの思い入れがないようです。これを逆手に取り、お正月の日本へ旅行に来てもらうようインバウンド市場でアピールするという方法があります。
「お正月はどこも開いていないし」。
「年末年始は誰も旅行に来ないだろう」。
日本では、そう思う人が多いかもしれません。しかし海外諸国では、年越しを旅行先で迎えることは珍しくありません。
また、お店が開いていないことや多少の不便があることは、日本人が思う以上にデメリットにはなりません。
欧米では日曜日は基本的にお店はどこもお休みです。週末はゆっくり過ごすという文化があるため、働いている人は少ないのが当たり前。日本のように、365日いつでもどこでもお店が開いている、という状態は驚異的なことなのです。
訪れる側にとっては、他のシーズンでは味わえない特別な雰囲気を楽しめるのが「お正月」の魅力。至れり尽くせりのサービスが提供できないとしても、それも含めて良い旅の思い出になるのではないでしょうか。観光客数が減りやすい「お正月」こそ、今後力を入れて集客していくべきシーズンなのです。