コラム

One for All , All for One??いろいろな業種の「インバウンド仲間」を見つけよう!

2016.02.12

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ビジネスシーンにおいて、個人や企業の「個」での利益を求めることはとても大切です。業績アップ・売り上げアップの為に、他社と差別化し、よりスペシャルな存在になる必要があります。しかし、インバウンド市場においては、実は「個」の利益を優先することが、必ずしも正しいやり方だとは限らないのです。



インバウンド市場の独特な性質とは?

日本を訪れる外国人観光客の数は年々増えており、日本政府としても観光立国を掲げている中、訪日観光客によって形成されるインバウンド市場は今後大きく成長していくことが見込まれます。市場が拡大するならば、そこでのビジネスチャンスも多くなり、参入する個人経営者や企業にとってはいかにして成功をものにするかが焦点になるのではないでしょうか?

しかし、インバウンド市場は日本国内の外食産業や携帯電話市場と違い、その規模が非常に大きいという特性があります。海外からの観光客をターゲットにしている市場なので、競合相手は日本国内の同業他社だけでなく、他国の同業者も含まれるのです。

例えば宿泊施設経営者の方にとって、いかに外国人観光客を呼び込むかという問題の前に、いかにして自分の宿泊施設がある町に来てもらうか、県に来てもらうか、ひいては日本に来てもらうか、という視点が必要になってくるのです。つまり、インバウンド市場を考えるときは日本国内だけで問題を完結させるのではなく、グローバルな視点での課題をも見据える必要があるのです。

「個」だけでなく「全体」での強みを武器にする

日本にやって来る外国人観光客たちは、「ゴールデンルート」という定番観光ルートを辿ることが多くなっています。日本の主要観光スポットを効率良く巡りたいという理由の他、それ以外の観光ルートや日本国内の地理について詳しくないから、という理由もあるようです。

つまり、ゴールデンルートから外れた地域でも、外国人観光客の興味を引き「ここへ行ってみたい」と思わせることができれば、集客は可能なのです。そのためには、「個」の力だけでなく「全体」の力が欠かせません。

具体的に言うと、町ぐるみや県ぐるみといった、「全体力」でのアピールが有効になります。仮に、とても素晴らしいサービスが受けられるホテルがあった場合、海外からわざわざそこを目指して、そこに泊まるためだけに観光客が押し寄せることはあるでしょうか?

素晴らしいホテルがあり、周辺には面白そうな観光スポットや体験施設もある、ゴールデンルートからは外れているものの、外国人向けのユニークな町起こしをしている・・・こんなケースなら、外国人観光客を呼び込むことも可能だと考えられます。

つまり、「オンリーワン」の価値を高めることよりも、さまざまな競合相手と連携することで地域全体・日本全体で観光客を呼び込むことの方が有効な場合もあるのです。

観光客のニーズは宿泊だけでなく、ショッピング、異文化体験、食などさまざまな要素があります。一つのお店や施設だけで満足してもらうことは非常に難しく、いろいろな業種の「インバウンド仲間」と提携することで満足度もアップしやすくなります。

一見、競合相手と連携することは自分の利益を下げることに思えるかもしれません。しかし訪れる外国人観光客の全体数を上げることは、自社の利用者数を底上げすることにもつながります。業種や職種に関わらず、さまざまな相手と「インバウンド仲間」を形成することは、今後のインバウンド市場を上手く渡っていく力を身につけることになるのではないでしょうか?