海外からやって来る観光客たちは、その多くが日本初体験なのでは?と思っている人が多いかもしれません。しかし実は、リピーターも数多くいるという事実が。今回は、日本に何度もやってきてくれる、リピーター観光客について見てみます。
中国人の多くは初めて日本に来るという事実
観光庁の調査で、国別訪日外国人旅行者の来訪回数が明らかになっています。これによると、アジアでは韓国・台湾・香港からの旅行者はリピーターが7割以上に及びます。また、中国からの観光客は、逆に6割が始めて日本にやって来るという事実も明らかになっているのです。
リピーターの多い3カ国では、訪日旅行者全体の20%前後が、訪日回数10回以上という事実も。さらに、30%あまりの人が4~9回目の訪日回数となっています。
何かと国交問題が注目される韓国ですが、実は日本にやって来る旅行者数はとても多く、何度も日本を訪れる人が少なくないのです。また、逆に「爆買い」などでクローズアップされることの多い中国人が、実は一人当たりの訪日回数は少ないというのも、意外な事実といえるのではないでしょうか。
欧米諸国からの観光客に目を向けると、日本にやって来る旅行者のうちリピーターが多い国は米国とロシアが挙げられます。特にロシアは4~10回以上訪日しているというリピーターが全体の3割を占めていて、日本好きな印象を与えています。
なぜリピーターが多い?秘密は滞在期間に!
アジアからの観光客がリピーター数や訪日回数が多い傾向にあり、ヨーロッパやアメリカからの観光客は初訪日が多いという事実。実はその裏に、「滞在期間の違い」があるようなのです。
観光庁の調査によると、アジアからの観光客の平均滞在期間は4~6日間が最も多く、3日間以内というケースも珍しくありません。反対に、欧米からの観光客の平均滞在期間は一週間以上が最も多く、14日以上という人も全体の3割以上を占めています。つまり、アジアからの観光客は短期滞在型で、欧米からの観光客は長期滞在型だといえるのです。
このデータを元に、例えば欧米からの観光客向けには「長期宿泊プラン」をアピールするというのはいかがでしょう?一方、アジアからの観光客には、周辺の観光施設と提携したサービスや送迎の充実を目指すという方法もあります。
欧米の人は航空チケットや宿泊先を自分で決める人が多いという特徴もあります。こういった人たちは、「隠れた穴場スポット」や「意外と知られていない素敵な宿」を見つけるとSNSや口コミサイトで多くの人に宣伝してくれるケースが多くなっています。ぜひ、立地や宿の特徴を活かして、ネット検索などに引っかかる工夫をしてみてはいかがでしょうか。
アジアからの利用者を増やすには、パックツアーとの連携や、個人旅行パッケージをターゲットにした宣伝方法を検討する必要があります。短期滞在とはいえ、今後何度も利用してくれる可能性がありますので、日本だけでなく宿のリピーターにもなってほしいところですね。
国別の特徴や個性に合わせて、効果的にリピーターを呼び込む。それが今後のインバウンド市場を生き残る近道になるのではないでしょうか?