「勤勉」「真面目」「メガネ」などといったキーワードで連想されがちな日本人。海外から見ると、日本人は生真面目で謙虚な性質を持つと見られている一方で、「神秘的」というイメージも持たれているようです。
日本にやって来る外国人観光客が興味津々の、日本人の神秘性の実態について考えてみます。
日本人の何が神秘的に見えるのか?
海外、特に英語圏の国々では、日本人は「神秘的な微笑み」をするというイメージがあります。これは、「神々しくて神秘的」という良い意味というよりも、「なぜ笑うのか理由がわからない謎めいた雰囲気」という意味合いが強くなっています。
例えば、街で外国人に英語で道を聞かれたとき、英語が苦手な人がつい浮かべる半笑い。または、会議の最中で意見を求められたとき、賛成も反対もしかねるときに浮かべる曖昧な笑み。
ちょっと間を持たせたいとき、相手の気を悪くしないよう配慮したいとき、困ったときなどにとっさに浮かべるのが、日本人特有の「神秘的な微笑み」なのです。
多くの外国人は、日本人と接したときにこの「神秘的な笑み」に戸惑うことが多いようです。特に英語圏の文化ではイエス・ノーがはっきりしているため、どっちつかずの態度は理解しにくいのです。
しかし、日本ではあえて白黒付けないで済ませるシーンも多く、相手への思いやりから「笑み」を浮かべるという文化があります。この、外国の人には理解し難い文化が、日本人を「謎めいた不思議な民族」に見せているのです。
訪日外国人たちは、こんな日本人像を求めている!
海外では、日本人女性が人気です。欧米の女性に比べると小柄で童顔な傾向にあるため、「可愛らしい」という印象を持たれているのだとか。
また、黒髪や黄色の肌は、欧米の人から見るとエキゾチックで魅力的に見えるといいます。外国人観光客、特に男性については、着物・黒髪・小柄でにこやかな日本人女性に出会えるのを楽しみに訪日する人も多いようです。
また、海外での認知度も高まった「おもてなし」という言葉と精神。本物の「おもてなし」を体験してみたいと日本にやって来るケースもあります。旅の大切なポイントである宿泊施設に関しては、この「おもてなし」を重視する外国人観光客は少なくありません。
国内では利用者が減っている民宿や旅館は、海外からのお客様には根強い人気があります。着物を着た仲居さんから、気配りの行き届いた「おもてなし」を受ける。これは外国人観光客にとっては一種の憧れです。
海外からのゲストが過ごしやすいようにと、外国的な雰囲気を取り入れる宿泊施設も増えていますが、実は伝統や歴史を感じさせる日本らしい宿こそインバウンド市場で求められているのです。
豊かな自然に囲まれた歴史ある老舗旅館で、日本の「おもてなし」の精神を体験する。これこそ、多くの観光客を効果的に呼び込むために忘れてはいけないポイントなのです。木造建築や日本家屋の造形美や、自然と調和した宿の佇まいは、外国人にとっては初体験の世界です。
日本人には時代遅れに思えるようなものでも、外国人にとっては神秘的で美しく見えることがあります。「神秘性」という新たな視点で振り返ると、これまではデメリットに思えたものが優れたアピールポイントになるかもしれません。
思いきって視点を変えてみることが、これまでにない新しいグローバル戦略を生み出すきっかけになるのではないでしょうか。