コラム

そろそろおしまい!?「爆買い」の次は「ハラールマーケット」に期待

2016.07.13

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中国人観光客による大量の買い物「爆買い」が話題となり、今ではすっかりその言葉も定着した感があります。しかし中国経済の先行き不安からか、その勢いも一段落した様子が見られます。

インバウンド市場において、次の波となりそうなのが「ハラールマーケット」。中国人観光客よりも大きなインパクトとなりそうな、この「ハラールマーケット」についてご紹介します。



「ハラールマーケット」とはどんなものか?

「ハラール」とはイスラム法で許可された行動や食べ物のことを指します。イスラム教は世界の宗教の中でも戒律が厳しく、イスラム教と(ムスリム)たちは海外旅行の際、食べ物に対して非常に気を使わなくてはいけないのです。

日本では宗教上の戒律を心得ている人が少ないため、ハラールに対する正しい知識を持っている人が絶対的に不足しています。ハラールの知識が不足するということは、ムスリムの観光客が訪れた場合、快適に過ごせなかったりトラブルになる可能性が高くなるということ。

特に観光ビジネスの場では、飲食・宿泊・観光の全てのシーンでハラール対応が必要となります。

ムスリムが多い国では、食品等がハラールで許可されているかを認定する第三者機関があり、認証された物にはシールが貼られるなどの仕組みが整っています。非イスラム国でもこの制度を導入する国が増えており、日本国内でもハラール認証を受ける企業が増えてきています。

イスラム教徒は全世界の人口の約4分の1(2020年の予想では24.9%)を占めているとされ、観光ビジネスにおいてムスリムを受け入れられることは、大きなマーケットを得ることにつながるのです。

急増するムスリム観光客を取り込むには

近年、急激な伸びを見せている日本のインバウンド市場。これまでは中国人観光客によるマーケットが非常に大きなウエイトを占めていました。しかし新たな注目を集めているのが、日本を訪れるムスリムたちが形成するマーケットの存在感です。

訪日外国人観光客数が年々増加していく中、ムスリムの割合は非常に速いペースで増加を続けています。2010年から2014年にかけての統計で見ると、ムスリムの多い東南アジアからの訪日旅行者が高い伸び率を見せています。人口に占めるムスリムの割合が高いインドネシアやマレーシアからの旅行者も多く、LCCの就航やビザ緩和に伴い、今後も増え続けることが予想されます。

訪日外国人数の全体から見れば、ムスリムの数はまだまだ少数です。しかしムスリム人口は今後も大きく増えることが予想されており、日本を訪れるムスリム数もこれまで以上に増えると期待できます。

日本人にとっては馴染みの薄いハラールですが、インバウンドビジネスのシーンでは無視できないハードルであることは間違いありません。

国や宗教によって異なる認証基準だったハラール認証制度について、マレーシアを中心に厳格な基準が作られつつあるのが現在の状況です。日本もこの基準をいち早く導入し、実践していくことが重要だといえるのではないでしょうか。

ハラール認証の認定機関は日本にも設置されており、専門知識を持つスタッフによる指導を受けることもできます。ムスリム客を効果的に集客するためには、ハラール認証を受けることが必須です。

今後のインバウンド市場で、大きな影響力を持つと予想されているハラールマーケット。まずはムスリムに対する正しい知識を持つことから始めてみませんか?

<参考データ>
Pew Research Center 「The Future of the Global Muslim Population」(2011年1月27日発表):
http://www.pewforum.org/2011/01/27/the-future-of-the-global-muslim-population/(英語)
観光庁 「ムスリムおもてなしガイドブック」:
http://www.mlit.go.jp/common/001101141.pdf