訪日外国人旅行者数が増加の一途を辿る近年、日本国内を見ても団塊の世代の大量退職などが重なり、旅行の需要は伸びる見込みが十分にあります。しかし、今あるハード面に頼ってばかりいては飽きられてしまうことでしょう。国内外に向けて誇れるような「新たな売り」を画策しておくのはいかがでしょうか。ツーリズム業界全体の傾向を知った上で対策を検討することをオススメします。
団体旅行から個人の旅行へと移っている
一昔前まで当たり前だった団体旅行の形式が、最近では揺らぎ始めています。団体旅行から個人旅行へのシフトが大きく見られているのです。景気の上下や世帯における貧困格差の拡大が騒がれるものの、国民の消費生活における旅行に対する欲求は増大しています。稼働している部屋を見ると、大人数での宿泊が主であった和室よりも、ツインルームやシングルルームといった個人消費向けの部屋の方が人気というのもこういった理由からでしょう。
宿泊施設そのものに求められるものの変わりつつあります。客室に収容できる人数はさておき、部屋が快適であるかどうかが重視されるようになりました。
今、女性客市場が、熱い!
どのホテルでもここ数年で見られるようになったのが、「女子旅」「女子専用プラン」といった文言でしょう。男女共同参画社会の推進によって、女性も仕事を続けやすい環境になりました。女性同士で自由に旅行するために、安心できる「女性限定フロア」の登場や女性のみの団体向けの特典といったように各ホテルがこぞって女性客へ向けたプランをはじめています。
かつては女性が一人でビジネスホテルに泊まることに抵抗があったようですが、今ではそういったことも見受けられません。ホテル側の女性への対応の徹底と、女性向けアメニティ等の充実といったなんらかの特典によって、女性がホテルに宿泊しやすい環境を整えることに成功したためです。この傾向は今後も拡大を続けることでしょう。
富裕層を狙ったマーケティング戦略も吉
退職を迎える団塊の世代を始め、日本にも増えてきている富裕層、訪日外国人旅行者の中でも富裕層に含まれる人達を狙ったマーケティングで代表的なのが、リゾートホテルです。その中でも最近リリースされ、目新しさが評判となり一気に「憧れの宿泊施設」となったのが、星野リゾートが手がける『星のや富士』です。
参考例『星のや 富士』
日本発のグランピング(「glamorous」+「camping」)リゾートをうたう、アクティビティから食事、客室までを世界基準に統一した国内外の富裕層向けアウトドアリゾート。利用客を選別し、他のリゾートとは差別化を図るために価格設定をある一定レベルより引き上げている。富裕層のデイリーユースはもちろん、富裕層でない人が「非日常」を味わうのに最高な作り込みをしたリゾート。
繊細な作り込みの理由は、一般のホテルのようにシングルユースからファミリーと言った幅広い客層をカバーすることを目的としていません。お金にも時間にも余裕のある大人のリゾートをコンセプトに、富裕層でも非日常感を味わえるようなキャンプの要素を取り入れた斬新なアイデアが受けているのです。富裕層を狙ったマーケティング展開も、今後より活発化することでしょう。