コラム

なぜそこに今開業?地方にも拡大する高級外資系ホテルから学べること

2016.04.01

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2000年以降、ホテルの客室稼働率や旅行業界全体の取扱高が増加し、単価の下落傾向は落ち着きを見せました。高価格化と低価格化の2極に分かれる業界の中で、高級化の道に進んで安定している外資系ホテルの存在がひとつの要因として挙げられます。
外資系のホテルは、そもそも日本のホテルとはどのような違いがあるのでしょうか。そして、地方都市での開業に際しては、どのようなビジネスチャンスに目を付けているのでしょうか。



外資系ホテルのブランド

外資系ホテルには、海外でもよく知られたブランドとして安心して利用できるという利点があります。世界規模で広く知名度、ネームバリューがあるということが大きな武器となっているのが共通する大きな特徴といえます。下記のホテルがその一例です。

スターウッド・ホテル&リゾート・ワールドワイド

現在11個のブランドを持ち、日本ではおもに2つのブランドで20近くのホテルを展開。
2015年にマリオット・インターナショナルが買収を表明したことでも話題に。

  • 「シェラトンホテル」
  • 「ウインストンホテル」

マリオット・インターナショナル

現在19個のブランドを持ち、78ヶ国でホテルを展開するアメリカの企業。
日本ではおもに3つのブランドで20近くのホテルを展開。

  • 「マリオット」
  • 「リッツ・カールトン」
  • 「ルネッサンス」

どれも一度は聞いたことのあるホテルブランドばかりです。そして、どのブランドも価格が高めに推移している系列です。

出店する際のリスクが少ない運営方式を採用

日本に初めて開業した外資系のホテルは、東京ヒルトンホテル(1963年開業)です。それまでのオーソドックスなホテル経営は、土地・建物の所有と管理をひとつの会社で行うことが効率的であると考えられていました。しかし、ヒルトンホテルの提案は、運営委託方式という、不動産投資を伴わないものでした。これは、当時の日本国内では類を見ないまったく新しいスタイルの運営方式でした。出店に際しリスクが少ないこと、そして不動産投資を行なわないことによって違う部分に投資できることも、格式高いホテルとして長年やっていく上で余裕を持った経営が可能になる理由のひとつとなっています。

都心のみならず地方にも拡大

外資系のホテルは東京のみならず、大阪、名古屋、福岡といった地方にも展開をしています。外資系ホテル各社が地方への進出を決めた背景には、大きな観光資源があるかどうかという点です。大阪にはユニバーサルスタジオジャパン(2001年3月31日オープン)が出来たこともあり、「ザ・リッツ・カールトンホテル」はそれにいち早く目を付け開業(1997年5月23日「ザ・リッツ・カールトン大阪」開業)しました。京都や神戸も観光市場が日本では有数の大きな場所ですし、福岡や名古屋とった場所は物流の拠点でもあり、空港が近いということで、人の出入りも見込まれます。

地方都市でも、その特性を生かした観光産業に期待が出来れば、外資系ホテル各社は開業に向け動き出すということがわかります。ホテル業界内だけを見ずに、日本の各都市の状況と将来性を見極める必要がありそうです。