10人に聞けば10人が知っている“ホテル”という宿泊施設。でも、そもそもホテルとはどのように定義付けされたものでしょうか。旅館など他の業態の宿泊施設と比較することで、ホテルがどうあるべきかを再確認していきましょう。
ホテルの定義と規定
日本国内のホテルについては、『旅館業法』という厚生労働省からだされている法律によって“洋式の構造および設備を有する施設で、宿泊料を受けて人を宿泊させる施設”と定義されています。
- 洋室の客室が10室以上あること
- 客室の広さは9平方メートル以上であること
- 館内に適当な数の洋式浴室またはシャワーがあること
- 水洗式男女別のトイレがあること
以上の条件を全て満たしていることによって、ホテルといえるのです。
出典:厚生労働省『旅館業法』
また、『国際観光ホテル整備法』では、外国人客が宿泊しやすいように洋式の基準を別途設けています。
ホテルと旅館の違いとは
旅館とは、先程ご紹介した『旅館業法』に基づいて“和式の構造及び設備を有する施設で、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業”と定義されています。つまり簡単にいってしまえばホテルは洋式で旅館は和式、ということになります。しかし、一言で済ませられるほど簡単な違いではありません。
部屋が和式か洋式かということだけではなく、ホテルと旅館を比べたときに機能的な面やサービス面で様々な違いを知ることが可能です。
比べる項目 | ホテル | 旅館 |
---|---|---|
客室の仕様 | 洋室 | 和室 |
入室の仕方 | 靴をはいたまま | 靴を脱ぐ |
プライバシー | 完全に確保されている | 仲居や布団敷きで入室される |
料金形態 | 宿泊費のみが中心 | 食事つきが一般的 |
このように、食事ひとつでくらべてみても、ホテルでは食事なしの宿泊のみが主であって、あくまでも食事は追加料金を設定して利用できますが、旅館では1泊につき2食付いていることが一般的です。
適当に食事を済ませたい方や時間に縛られずに行動したい人、価格を抑えて宿泊したい人はホテルを選択することが多いでしょうし、食事を用意してもらって一度チェックインしたら施設内でのんびりゆっくりしたいと思う方は旅館を選択するでしょう。和式か洋式か、単にそういった問題ではなく、様々な違いで客のニーズの違いで客層が変わってくるのです。利用者は多くの相違点から、旅行の目的や行先によって上手に使い分けています。
ホテルの分類
日本のホテル業界には、日本シティホテル連盟と日本ホテル協会があります。日本シティホテル連盟にはビジネスホテルが多く、日本ホテル協会には高級ホテルが加盟しています。このようにホテルは価格や立地によって、グループ分けされているのです。この分類は、利用者にとってもホテルを選択する際のわかりやすい目安になっています。
- シティホテル…都市中心部に多く分布する。価格は高めに設定されており、規模が大きく国際水準のサービスを提供している。
- ビジネスホテル…都市部の駅周辺に多く分布し、アクセスが非常に良い。価格は中程度でビジネスマンが愛用しているように十分な設備を備えている。
- リゾートホテル…行楽地の周辺に分布。価格は比較的高価なところが多い。アクティビティに富んであり、ホテル内外で様々な娯楽が用意されている。
- 複合型ホテル…テーマパークやショッピング施設と併設しているホテル。価格は高めで近年注目されている形態。
- エコノミーホテル…都市部の駅周辺に分布していることから、ビジネスホテルと立地では被っているが、価格が低価格に設定されていることもあり宿泊に特化しているため設備は最小限に抑えられている。
こういったようにホテル業界全体から形態別に分けることによって、個別に成長戦略を練ることが可能です。