コラム

客室の「稼働率」と「客単価」はバランスが大事!経営安定化のためにできること

2016.01.08

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ホテル経営をするにあたって最も重要な指標といえるのが「客室稼働率」です。これは「客室利用率」とも言われ、利用されている部屋数を使用可能な部屋数で割った数字のことです。

当然ながら、稼働率が高い方が経営的には理に適っているといえます。ホテル経営の安定と繁栄を計るなら、稼働率を適正値で保ちつつ客単価もある程度とっておかなければなりません。この2つの要素の特性とバランスについて考えていきましょう。



経営者にとって気になる数字「客室稼働率」

稼働率について考えるとき、飛行機の座席をイメージしてみましょう。飛行機の座席に空席が目立ってくると、運航費は変わらないにもかかわらず収益が減少して経営が苦しくなるのはわかりますよね。

利用率の低迷というのは、経営するにあたって致命的といえる問題です。飛行機でしたら、利用率の少ない路線を縮小したり、その路線から撤退してその機体を繁盛路線に使うといった工夫と対策を打てるのですが、ホテル経営はそうはいきませんよね。

高額をつぎ込んで一度建ててしまったホテルを、簡単に撤退させることは出来ません。経営の改善を図り、稼働率を上げる努力をしなければなりません。ホテル経営者にとって、稼働率というのは大変気になる数字なのです。

客単価と稼働率のバランス

稼働率が高いからといって、全てが順調とはいえません。稼働率がいくら高くても、客単価が低ければ経営は自ずと苦しくなってしまいます。ホテルの料金設定というものも真剣に考えていかなければなりません。

  • ホテルの定価
  • 契約先などへの割引料金
  • 政府関係者向け特別料金
  • 団体割引

といったように、特別な企画やホテル以外のアクティビティとセットにして割安に販売するなど、ホテルの料金は定価よりも安く利用できる場合がかなりあります。

従って、「ホテルの定価」は高めに設定した方が良いのです。稼働率が100パーセントだからといって、定価利用者が多いか少ないかによって利益が大きく変わってきます。

より定価に近い金額での利用者が多いほうが売り上げは上がるのですから、一部屋あたりの平均価格に注目をするとより明快に客単価と稼働率について考えることが可能です。

ADRとRevPAR

  • ADRとは
    Average Daily Rateの略語。売上の金額を利用された客室数で割って求めることが可能。
  • RevPARとは
    客室稼働率と平均客室単価を掛け合わせた指標。Revenue Per Available Roomの略称。直感的に経営状態を把握するのによく用いられる数値。

稼働率が下がると、ホテルでは価格を下げて集客アップを狙いますよね。そうして稼働率が上がってきたところで価格を引き上げていき経営の安定化を図るのが一般的です。稼働率と客単価、どちらも高い水準で保てるのが一番良いに決まっていますが、そのバランスが安定した経営をどのホテル経営者も目指し日々苦悩しているわけです。

RevPARはリバパーと呼ばれ、この数値を使えば毎日の業務状況が明確にわかるためによく用いられます。他のホテルとの比較をすることも可能ですから、ホテル経営においてなくてはならない数値といえるでしょう。

経営を安定化させるためには…

客単価をそこそこに設定し、満足感を与えることを意識しつつも稼働率を上げ、各種割引サービスによってお得な価格帯の宿泊プランも用意することによって様々なニーズに対応することが、利用する客層を広げる結果に繋がります。

利用する客層が広がれば、稼働率は上がってきますので、あとはその状態をいかにキープするかにかかっているといえるでしょう。