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本書の著者は、インバウンド観光に特化したポータルサイト「やまとごころ.jp」を運営する村山慶輔氏。ウィスンコンシン大学マディソン校の出身で、異文化交流に強い関心を持っていたことから、インドへのインターンシップ経験やアイルランドの総合コンサルティング会社・アクセンチュアでの勤務経験を持っています。
そんなグローバルに活躍した経歴を活かし、村山氏が2007年に立ち上げたのが、「やまとごころ.jp」。まさにインバウンドビジネスの先駆けともいえる活躍をしてきた著者だからこその、ノウハウや情報が、本書にはふんだんに盛り込まれています。
インバウンド初心者にオススメの一冊
本書は、すでにインバウンドビジネスに携わっている人だけでなく、これから始める人、会社のインバウンド担当になった人などに向けて、基本的な情報から今後のインバウンドビジネスにおいて知っておきたいことまでをまとめた一冊です。
本書の内容は5章に分かれており、第1章では「インバウンドビジネスとは」という基礎知識、第2章以降は外国人観光客への理解を深め、より多くの外国人観光客を集客するための実践方法が書かれています。
特に第3章「外国人観光客を集客しよう」では、インバウンドビジネスの始め方から、集客のアプローチ方法まで考察されており、この部分を読むだけですぐにインバウンドビジネスを始められるほどの充実ぶり。本書中で紹介されている「インバウンドビジネスを始めるための5つのステップ」は、すでにビジネスを稼動させている人にとっても有効です。
また、本書は図やイラストを使って観光客にまつわるさまざまなデータを紹介しており、データブックとしても役立ちます。著者の豊富な経験に裏打ちされた考察や、これまでのインバウンドビジネスで積み重ねられた豊富な知識は非常に価値があり、本書は外国人観光客を知るための教科書といってもいいのではないでしょうか。
集客方法の実例を参考にしよう
インバウンドビジネスは、日本国内だけで完結することはできません。さまざまな国と地域からやってくる観光客たちに、まずは日本をアピールする必要があります。さらに、自分の経営する宿泊施設や観光スポットに来てもらうためには、ピンポイントで外国人観光客を引き寄せる必要があるのです。
ここで有効なのが、本書の第4章「受け入れの準備を整えよう」です。数ある宿泊施設、スポットの中から自社を選んでもらうためには、他との差別化が求められます。外国人観光客が望んでいることは何か、どんな受け入れ準備が必要か、などといったところがこの第4章では細かく推察されていて、これを実践することでより居心地の良い環境作りが実現するのです。
続く第5章では取り組み実例が多数紹介されており、宿泊施設やショッピング施設のロールモデルの詳細を知ることができます。ロールモデルは、旅館・百貨店・アウトレットモールの他、鳥取氏や京都市などの地方自治体、焼肉店やロボットレストランといった飲食店から人気の通訳案内士まで多岐に渡ります。
シーンにこだわらず、外国人観光客を集客する、ということだけにポイントを絞って書かれた本書。まさに「かゆいところに手が届く」一冊となっています。インバウンドビジネスに関わる問題が起きたとき、とりあえず本書を開けば答えが見つかるかもしれません。ぜひ、本書を手元に置くようにしてみてはいかがでしょうか。