ホテルの業態といっても、一体どういったものなのか理解している人は少ないでしょう。利用者からみれば、値段や部屋のグレードの違いといった部分でホテルを見極めているのであって、業態自体あまり意識されていない部分だからかもしれません。
旅館業法が1948年に制定され法的に「ホテル」というものが定義付けられました。更に国際観光ホテルの定義として国際ホテル整備法が翌1949年に定められてから現在に至るまで、ホテルの分類として欧米で採用されている方式と日本で採用されている方式とが混在しています。
業界で統一された基準が無く、業態についても機能性や立地面、料金形態といった要素から区分されているのが実情です。
社団法人日本ホテル協会の入会基準
設備基準
- 客室総数が50室以上であること。
- 15平方メートル以上のシングルルーム(ダブルその他の2室以上の客室を含む)の合計が客室総数の50パーセント以上であること。
- フロントの近くに椅子、テーブルの備えつけがあり、客が無料で利用できるロビーその他の場所が基準面積で設けられていること。
- 朝、昼、夕食事において洋食の提供ができる自営の食堂が1箇所以上設けられていること。
客室収容人員(X) | ロビー面積 |
---|---|
100人以下 | 40㎡以上 |
101人~500人 | X×0.4㎡以上 |
501人~1,000人 | X×0.3+50㎡以上 |
1,001人以上 | 350㎡以上 |
その他の規定
- フロント要員は、フロント業務に支障をきたさない人数の確保がされていること。
- 午前7時から午後10時までの間、食堂又はルームサービスにより食事の提供ができること。ただし、立地条件等によりその必要性が認められない場合には省くことができる。
- 会員ホテルと同一又は類似のホテルの名称、マーク、ロゴを使用するものでないこと。ただし、当該ホテルの同意がある場合にはこの限りではない。
アメリカの分類基準でよく見られるワード
- スタンダード(Standard Room)
- スーペリア(Superior Room)
- デラックス(Deluxe Room)
- エグゼクティブルーム(Executive Room)
- クラブルーム(Club Room)
- ジュニアスイート(Junior Suite)
- スイート(Suite)
ホテルによって、ランクの上下に多少差が見られますが、こういった分類がなされている場合が多いです。スイートが最上級価格帯に設定されているケースがほとんどで、日本人が耳にして「なんとなくプレミアム感を感じる響き」としてすでに世に定着しているように感じられます。
また、同じように客室を売り出すよりも、明確にこういった文言でランク分けをしておいた方が宿泊を考えている人にとってわかりやすくて良いでしょう。
立地面での業態分け
協会における設備面中心の入会基準や価格帯における分類をお話してきましたが、立地面での業態分けは比較的簡単です。ターゲットとなる客層をどこに置くかによってどこにどういった規模のホテルを設置したら良いかといった経営方針の根本を決定する際の最重要確認事項となりそうです。
- シティホテル
都市の中心部に立地。大型駐車場を併設しており、多くの来客に備えた格式高いホテル。 - ビジネスホテル
駅周辺や都市部にあり、アクセスが良いにも関わらず比較的安価な価格帯のホテル。 - リゾートホテル
景色が良く、都会の喧騒から離れた観光資源に恵まれた快適さが魅力のホテル。 - 複合型ホテル
宿泊施設とその他の業種の施設がドッキングしているタイプ。