近年のグルメブームも追い風となり、ホテルのレストラン等の料飲部門は「一流」として格のある立場に君臨し続けていました。しかし、低価格で良いサービスを展開するホテルチェーンが人気を博しているのも事実。今後、ホテル業界で生き抜いていくための展望とはどういったものでしょうか。
「一流」に奢らないことが必要
ホテルのレストランは、確かなサービスと料理の質が魅力的ではありますが、やはり気になるのが価格面です。宿泊利用のお客様にとって、食事なしのプランで宿泊しホテル内のレストランで食事をするとなると結果2,000円、3,000円…とレストランで支払うことになり、割高感がどうしても拭えないのです。
両家の顔合わせや結納といった慶事にホテルのレストランの個室が利用されるのは一般的ですが、こういった特別な日以外にホテルのレストランを利用するのは少々敷居が高いと認識をされているのが現実です。宿泊客がホテルの外へ出て食事をする…というのには理由があって、人気のレストランが数多く存在するからです。値段が手頃でアクセス良好、話題のお店とあればいくらホテル内とはいえ高額なレストランでは太刀打ちできません。そこで打ち出さざるを得ないのが「ホテルレストランのカジュアル化」です。
カジュアルダウンではなくカジュアル「アップ」を!
一品に何千円も出さなければならない高級フレンチレストランであった場所が、バイキングスタイルになるなど、ホテルレストランも様々な転換期に差し掛かっていると言っても過言ではありません。バイキング形式であれば、質の良い料理はそのままに、価格も大きく下げることをせずとも「たくさんの質の良い料理を少しずつ味わえる」と利用しようと考える人が増えるのです。
敷居を低くしようと考えると、カジュアルダウンという印象がつきまといますが、むしろカジュアルアップと考えましょう。ホテルの料飲店舗をカジュアルに変換することによって、ホテルという“非日常”の空間に、脚を運びやすい“日常”を少しだけプラスして、お客様にサービスを提供するのです。
「ここでしか味わえない」という特別な味とサービスを個性に
ひとつずつサービスするレストランよりも、同単価またはそれより高単価でもバイキング形式に変えカジュアル化を図ることによって集客をするのが常套手段ですが、他の場所では味わえないものが味わえる…という個性あふれるイベントで集客をすることもまたひとつの手段です。
札幌プリンスホテルで行われていたのが、ランチブッフェのパフォーマンスコーナー「アイスクリームバー」。自分だけのアイスクリームを作って貰える…と銘打って、パティシエが冷たい石の上で目の前でアイスクリームとトッピング、ソースを混ぜ合わせて提供してくれるというものです。実際に用意されているのはアイスクリーム3種にトッピングとソース類と、至って普通の範囲ではありますが、「パティシエが目の前で自分のためにアイスを作ってくれる」というプレミアム感が好評となり、人気となっているのです。(現在はほかのパフォーマンスになっています。)
出典:札幌プリンスホテル
ランチブッフェ | ブッフェレストラン ハプナ
売り出し方にはアイデアを光らせよう!
ホテルの料飲部門は現状に満足することなく、食事に関してニーズが常に変化していることを踏まえてアイデアを光らせていく必要があります。流行に流されることなく、流行に逆らわずに展開させていくことが収益の安定や増加に繋がることでしょう。