コラム

【ホテル今昔物語】都市と経済の成長に必要不可欠!?高度経済成長期におけるホテル産業

2016.03.16

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ホテル業界に大きく関わってくるのが、都市と経済です。日本を代表とする変革期といえる高度経済成長期には、一体どのような変遷があったのでしょうか。ホテル運営に関わる一人間として、高度経済成長期の特徴と推移、そして日本のホテル御三家に共通する特徴を知識として頭に置いておきましょう。




経済成長とホテルの建設は密接している

1960年に赤坂にホテルニュージャパンが建設され、銀座には東急ホテルが建設されました。東京オリンピックの開催が1964年に決まったことから、インフラを含め様々な設備、施設が急ピッチで整備されることとなったのです。国際的なイベントに合わせ、国内外からの需要に対応すべくホテルの建設ラッシュとなりました。日本のみならず全世界的に、ホテル産業の成長は経済成長と密接な関係を持っているのです。

日本のラグジュアリーホテルを牽引する御三家

高度経済成長期から、ホテル業界内外で絶対的な力を持っていたのが御三家とも呼ばれる帝国ホテル、ホテルオークラ、ニューオータニです。世界レベルの設備とサービスを揃えており、今もなお日本の高級ホテルの代表格としてホテル業界を牽引している存在であります。そんな御三家は経営面からも共通点が多く、その方針は他のホテルが参考にしている面がありますので知っておいて損はないでしょう。

  • 大型ホテルである
  • いずれのホテルも客室数が800を越える大型ホテルです。

  • 宴会場を多数持っている
  • 大型の宴会場を備えており、宴会場の売上比率もかなりを占めています。

  • 料飲店舗を多数持っている
  • 和食に限らず、洋食、中華、バーといった様々な料飲店舗を備えており、どんなニーズにも対応できるように整備されています。

  • 都心に立地している
  • 国会議事堂や官庁街、ビジネス街の近くに立地していることから、大企業や官公庁などの高い需要を常にキープしています。

  • 所有から経営そして運営を一本化している
  • 近年、関連会社の運営委託が増えてきた部分もありますが、当時は自社物件として所有にはじまり経営から運営までを全て一本化して行ってきたのも御三家の大きな特徴です。サービスマインドの構築、共有にあたり相違がないよう徹底的に指導がなされ、その意識にズレや相違が生じなかったのもこれが大きな要因といえるでしょう。

都市の成長に合わせた戦略を…

高速道路の開通や新幹線の開業といった大きな交通網の整備を進むにつれ、国民ひとりひとりの生活にもゆとりがもたらされました。働くことが生活の大部分であり、余暇を楽しむ金銭的、時間的余裕の無かった時代は終焉を迎え、余暇を家族で楽しむ時代へと変化をしてきたのです。こういった変化によって、大都市部以外の地方都市部でもホテルの建設が始まりました。

地域の顔となる大型ホテルは、都市の中核機能として期待されることとなりました。都市部からの旅行者で地方ホテルへ旅行しお金を落としていってもらうことによって日本経済が都心部に集中することを避けることが可能となったのです。経済に大きな影響をもたらすホテル建設は、今後の日本の基盤をどういった方向にしていくか非常に重要な局面を迎えていたのです。