1970年代以降、団塊世代の大量就職によってホテル業界も含め多くの企業が十二分な労働力の確保に成功しました。それと同時に結婚適齢期を迎えた若者が急増したことから、挙式場の確保に奔走する姿が見られ、ホテルも婚礼マーケティングに本格的に参入し始めたのです。よりホテルが身近な存在となったこの変革期についても知っておきましょう。
ホテル利用が身近に
地方都市でもホテルがよくみられるようになってきた1970年代以降、駅前の再開発が行なわれるなどして駅周辺に軒を連ねていた旅館や民宿がホテルとして洋風化を遂げました。洋室仕様の客室と、併設されたレストランでの食事のサービスといった「ビジネスホテル」が流行り始めたのもこの時期です。
段々と核家族化が進み、欧米的な生活をする日本人が増え、多くの人が余暇を楽しむようになるにつれ、日本でレジャー産業や外食産業が急成長を遂げていったのです。
「ビジネスホテル」の変化とは
ホテル利用者の変化も見られました。ビジネス客や観光客の宿泊目的のみにとどまらなくなってきたのがこの時代です。個人客がホテルを利用する際には「ホテルで結婚式を挙げたい」や「ホテルのランチを食べたい」といったように、宿泊を前提としない活用法が見いだされ、よりホテルが身近なものとなってきたのです。
ホテルはただの宿泊施設という枠にとどまらず、冠婚葬祭からレジャー、ショッピングや外食といった個人の消費浴を満たす役割を持つように変化しました。また、商談の場としてもホテルのロビーやレストランが利用されるようになり、ビジネスホテルでも宴会場の設備を持っていたり、冠婚葬祭に対応できるよう社員教育がなされるなどラグジュアリーホテルに引けをとらない充実さを兼ね備え始めたのです。
ホテル業への新規参入も目立った時代
団塊世代の大量就職によって、企業は豊富な人材と土地そして資金の有効活用を目論んで、ホテル業への新規参入をするようになってきました。その代表格ともいえるのが鉄道会社です。駅前周辺や駅ターミナルビルに宿泊施設を設置、また既存のホテルとの提携も行い全国各地に進出しました。
東京新宿西口には京王帝都電鉄(現・京王電鉄)が日本初の超高層ホテルである京王プラザホテルを開業し、品川には京浜急行電鉄のホテルパシフィック東京(2010年9月30日営業終了)がオープンしました。JR東日本のホテルメトロポリタン、JR西日本のホテルグランヴィア京都、JR東海の名古屋マリオットアソシアホテルなど、JR系は、全国主要都市の駅に直結したホテルを数多く持っています。今もなおその勢いは留まらず、今後も展開していくとみられています。