新御三家が進出した1990年代前半を「第一次外資系高級ホテル進出ラッシュ」と呼ぶならば、2002年以降は「第二次進出ラッシュ」と言えます。その特徴や都市開発におけるホテル導入傾向などを知っておきましょう。
ホテル業界をとりまく外資系ホテルの特徴
第一次外資系ホテル進出ラッシュとは違い、2002年以降の第二次ラッシュには次のような特徴が挙げられます。
- 進出する施設の形態として、都市部に立地するオフィスビル複合型が中心となっている。
- 大型宴会場の施設を持たない高級ホテルが増えてきた。
- 客室単価が4万円以上と、今までと比べるとかなりの高値の設定が多くみられる。
- 宿泊中心型ホテルが多くみられる。
- ホテルのオーナーは国内の大手デベロッパーや外資を含めた不動産会社が多く、オペレーターはアメリカに代わってアジア系資本が多くなった。
国内のホテル業界の状況と照らし合わせて考えてみましょう。価格面では、低価格化と高価格化の2極化が進んでおり、その高価格化を押し進めたのがこれらの外資系ホテル。低価格でも確実に顧客を掴んでいこうという堅実な姿勢のホテルは、国内資本がほとんどです。
外資系ホテル進出の背景について考えましょう
2000年代は、海外からの観光目的の訪日旅行者が急増した時代でもありますが、この時期に外資系ホテルが開業を次々に果たした背景を見ていきましょう。
- 世界的に知名度が高いホテルの需要が見込めた。
- バブルの崩壊によって地下が暴落。都市再開発の活発化によって、土地や建物の初期投資をかなり抑えられた。
- 外資系ホテルの建造は再都市開発の目玉となるので、こぞって誘致活動が行われた結果、ホテル側に有利な条件で進んだ。
- 不動産投資先としての需要が外資系ホテルにあり、人気が年々高まっている。
デベロッパーからの熱い人気
近年、東京をはじめ地方の各都市においても再開発が多く計画され、建築基準法の建蔽率や容積率などの規制が大幅に緩和されたり、新しい建築工法が考案されるなど、高層ビルの計画がしやすい状況になってきました。都内では、ホテルを導入することで、「非業務面積」の基準面積を満たすことが可能になるため、オフィスビル複合型が中心の施設形態が多く取られています。外資系ホテルの存在によって、外国企業のテナントを誘致しやすくなり、さらには居住エリアが近接する場合は、マンション部分の外国人入居が増加するなど、外資系ホテルがもたらす影響に大きく期待が膨らんでいるのです。
集客力のある外資系ホテルの存在は、日本の都市開発において極めて重要な存在であり、デベロッパー側からの人気も年々高くなってきているのです。