観光庁の発表によると、2015年の国内の旅館やホテルへの年間宿泊数が5億545万人泊となり、2007年の調査開始以来最高値となったことがわかりました。
この数値は泊まった延べ人数に、それぞれ泊まった日数をかけて求められたものです。年間宿泊数は前年より6.7%増加しており、外国人の宿泊が前年の1.5倍に伸びたことから全体数が押し上げらたものと考えられます。
外国人の宿泊は前年より48.1%増の6,637万人泊となり2011年と比較すると3.6倍にも増えているのです。
都道府県別に見ると、静岡、佐賀、茨城、三重、滋賀の5県で外国人の宿泊数が前年の2倍に増えているほか、都市部のホテルの客室稼働率が高まっています。特に東京と大阪では客室稼働率が80%を超えており、ホテル不足が深刻化しているほどです。
都市部で泊まれなかった旅行者が周辺の県に流れたことが予想され、埼玉、千葉、神奈川でも客室稼働率は高まっています。
国内からの旅行者も増加傾向に
訪日観光客数の急増する中、日本人の国内旅行も増加傾向にあります。消費税増税による落ち込みから回復期にあることに加え、円安が続く現在では海外旅行よりも国内旅行を選ぶ人が増えているためです。
日本人の延べ宿泊者数で見ると、前年比で2.4%増の4億3,908万人泊となっています。
また、2016年1月の訪日外国人数は、前年1月より大きく増加していることも報じられています。
2015年に大きな盛り上がりを見せたインバウンド市場は、今年も順調に伸びを見せていくと考えられます。外国からの観光旅行者数が増えるのに合わせて、日本人旅行者も増加することが予想されるため、国内の旅行・宿泊業にとっては強い追い風が吹くのではないでしょうか。伊勢志摩サミットの開幕を控え、国際的にも日本への注目が高まりつつあります。
中国の航空会社からの乗り入れを受け入れている静岡、佐賀、茨城空港では、急増する中国人ツアー客の取り込みに成功しています。しかし、都市部に外国人旅行者が集中しすぎることや、せっかくのインバウンド需要を効果的に取り込めていない地域との格差も目立ちます。
ホテルや旅館などの宿泊施設が独自の集客アピールを行うだけでなく、地域を上げての大々的なインバウンド対策も必要な時期に入っているといえそうです。