2015年12月19日の時点で、訪日外国人旅行者数が1900万人を超えたことが明らかになりました。通年では1900万人台後半になることが予想(出典:2015年12月22日『訪日外国人客、1900万人突破 国交相表明 19日時点』 / 日本経済新聞)されています。
一方、出国した日本人数は11月までで1500万人を割り込んでおり、訪日外国人数が出国者数を上回るのは実に45年ぶりのことです。
訪日観光客数は年々大きな伸びを見せており、平成26年と比べると4割以上の増加となっています。今後も右肩上がりに訪日客数が伸びていくことが見込まれており、政府が目標とする「平成32年までに年間2千万人」の早期実現が現実味を帯びてきました。
今後の展開が気になる「民泊」
増加の一途を辿る訪日観光客数に比例して、日本国内のインバウンド市場も活気付いています。観光立国を目指す政府の支援もあり、都市部だけでなく山間部やリゾートエリアでも外国人観光客をターゲットにした戦略が次々と導入されつつあります。
宿泊業界においても、外国人観光客は大きな市場を形成します。東京・大阪・京都などの「ゴールデンルート」では、宿泊施設不足が大きな問題となっているほどです。
これらの地域ではビジネスホテルやカプセルホテルも人気があり、ネット経由で予約がいっぱいになるというホテルも珍しくない状況にあります。
現在の日本におけるインバウンド観光市場を考えると、「やって来る客はたくさんいるのに、受け皿が足りない」ということになります。そこで政府が打ち出しているのが、「民泊」というスタイルです。
東京都では大田区をはじめとして、マンションの空き室や自宅の部屋を貸し出す「民泊」が開業しつつあります。しかし「民泊」は安全性や宿泊費用の決め方についての不安、不法入国者への対応など、さまざまな問題を内包しているのも事実です。また、「民泊」がメジャーになることで、正規の宿泊施設への影響も危惧されています。
日本旅館協会では「民泊」に関する疑問と問題点を指摘しており、「民泊は簡易宿所営業の許可を取得すべき」との考えを示しているのです。
今後、「民泊」についてどのような法的対応が求められるのか、宿泊業に携わる人の多くが注視しています。